文才がない人のぶろぐ

思ったこと・興味あることを適当に書いています。

手抜きと価値

最近ネットニュースを見ていたらこんな記事が目についた。

「ポテトサラダをスーパーの総菜で買うことは手抜きか?」

色々意見があると思うが私個人としては手抜きさせなさいよと思った。私は家庭の事情で中学後半から高校、大学の中盤くらいまで家族の料理をしないといけないような環境だったので帰宅して買い物をして夕食の料理をしていた。これがかなりつらかった。毎日、かぶらないように献立を考えるのはかなり大変だ。少し手の込んだものを作ろうとするとおかずの品はどうしても減るし、洗い物も増えてしまう。すると、夜寝るのも遅くなり自分の時間もとりづらくなる。そして、カレーとかを頻繁に作ると「また、カレーかよ。」みたいな事を父親に言われたのをよく覚えている。まあ、けんかになりますよね。(笑)

家庭のご飯は外食ではないのでそんな手の込んだものは作れないだろとよく腹の中で思っていた。ポテトサラダ、ローストビーフ、唐揚げ、コロッケ、天ぷら...etcこの系統は時間がかかるからスーパーの総菜になり、毎日の家庭の献立を支えているのだと私的に思っている。限られた時間で色々出そうと思ったら総菜とか冷凍食品とか利用しないと時間がかかってしょうがない。

夕飯だけに限って書いたが、専業主婦というものは結構仕事量がある。朝食、掃除、洗濯、子育て、買い物、洗濯物の取込、夕食。この仕事をすべてやろうとすると空いている時間はたぶん、午前中からお昼の1,2時間だと思う。午後は一人ではスケジュールを割けない仕事が多くなるので休みは取りづらい。なので、労働量としては結構ハード。昔ちらっと目を通しただけだが、家庭の労働に賃金をつけると年収的には300万は超えるらしい。(しっかり労働経済学とか計量の実証の論文を読んだのではないのではっきりとしたことは言えないが。)また、家事もオートメション化が進んだが他の仕事同じように、求められる水準も高くなり大変さは少し楽になっただけなのではと思うときがある。

少子高齢化社会で家族は核家族になり労働力人口が低下する時代、女性の社会進出とかが叫ばれている時代なら男性が家事をやったり手を抜くところは抜いて、機械に任せるところは任して、他のところに力を入れて行くというのが色々無理しないで暮らしていけるコツだと思う。

頑張っていること

最近、友達とオンライン飲み会を開いた。同級生とか、友達とかと飲み会を開くと必ず仕事の話になる。せっかくの休みなのだから何も仕事の話なんかする必要はないと思うのに、仕事の話をみんなでする。各々の仕事に対するスタンスとか、今頑張っている仕事とか、今後やりたいこととかを話すことになる。お酒が相まって熱く話す人もいる。ただ、私はこれにどうしてもついていけない。大学の時に、語れるような人間になれと言われたことがあった。この時もよくわからないことを言っているなと思った覚えがある。その理由はあなたがいま頑張っていることをなぜ私が聞く必要があるのかとどうしても思ってしまうからである。飲み会の席は学会などの自分のやっている研究を知ってもらう場ではないと思う。ただ、やっている業種と内容を少し話せばそれで良いと思う。誰も頑張っている人の話を聞きたいと思っているのだろうか。私自身は頑張っていることとかを他者に話すのはカッコいいことだとは思っておらず、見えないところで努力をするからカッコいいと思う。

というよりも、生きているというだけで皆、必ず努力をしていると思う。それを見ないで仕事だけの努力だけを切り取ってしまうのはなんかおかしい気がする。確かに仕事はお金という指標があるが、お金になる努力だけを認めるのであればそれは何というか視野が狭い立場だと言わざる得ない気がする。生きているだけで何かに葛藤し、悩み、日々を過ごしていると思う。少なくとも頑張っている話をみんなとするのであれば仕事に限らず、打ち込んでいることや今の生活の大変なこと、苦労などを全て含めて聞くべきだと思う。それなら少し納得して人の頑張りを聞けると思う。

本の紹介 数学編

経済学専攻だった私だが、数学みたいなことも勉強していたので数学書は結構読みました。経済学で必要になる(理論の計量経済学とか数理経済学の話)数学は基本的には解析学で、ちょっとだけ幾何学が必要になることもある。本の紹介というか、格闘の歴史をつらつら書いていく感じになるかな。

微分積分学

微分積分 (共立講座 21世紀の数学)

微分積分 (共立講座 21世紀の数学)

  • 作者:黒田 成俊
  • 発売日: 2002/09/01
  • メディア: 単行本
 

私はこの本で解析の基本を勉強した。まあ、地獄だった覚えがある。高校数学の感じで勉強していたら何を話しているかさっぱりで、大学1年はとにかく大変だった。大事なところは沢山あるが、特に重要なのはやはりδ-ε論法だろう。すべてを理解するに超したことはないが、やはり大変なので時間をかけて勉強するのが良いと思う。統計専攻の友人と話しながら理解を深めたのを覚えている。

線形代数

線型代数学(新装版) (数学選書)

線型代数学(新装版) (数学選書)

  • 作者:佐武 一郎
  • 発売日: 2015/06/05
  • メディア: 単行本
 

線形代数はこの本で何度も勉強した。これも最初のうちはさっぱりで何をおっしゃっているのでしょうかという時間が長く続き、結局1年くらい格闘した思い出がある。理論系に行くなら微積線形代数はどんなところでも必須なのでどんなに時間をかけても損はないと思う。

位相と集合

集合・位相入門

集合・位相入門

  • 作者:松坂 和夫
  • 発売日: 1968/06/10
  • メディア: 単行本
 

数学科の教養科目の一つの位相と集合。これはこの本で勉強した。まあ、何言ってるか分からないよね。さらに抽象度が増す位相と集合は、基本的な概念である開集合とか、閉集合、近傍系、分離公理、コンパクトなどの定義をしっかり頭に入れて整理出来るといいと思う。簡単に書いているがなかなか出来るものでもない。私も今でも出来ていない。

ルベーグ積分

ルベーグ積分論

ルベーグ積分論

 

大学時代の一番の地獄の勉強だった、ルベーグ積分。本当に何を言っているか分からなかった。この本は他の本が省略してしまうようなところも証明が書かれていて、じっくり読むにはいいと思う。”ルベーグ積分はリーマン積分と違い、横に切るイメージで積分を構築する”と言われてもこっちは全く分かなかった。頭が悪いもので、全然理解出来なかった。大学1年のある朝、マンホールを見て突然言っていることが少し理解でき始めた事を良く覚えている。あのマンホールには何度感謝しても足りない。

確率論

確率論 講座数学の考え方 (20)

確率論 講座数学の考え方 (20)

  • 作者:舟木 直久
  • 発売日: 2004/11/01
  • メディア: 単行本
 
確率論 (岩波基礎数学選書)

確率論 (岩波基礎数学選書)

  • 作者:清, 伊藤
  • 発売日: 1991/05/30
  • メディア: 単行本
 

ここからが計量経済学に繋がる科目。長い。確率論はこの舟木本と伊藤本を読んだ。舟木本はルベーグ積分が理解出来ているなら説明が丁寧に書かれているので、結構理解が進むと思う。一通り舟木本を読み終えたら、確率論の名著、伊藤清先生の「確率論」を読むといいと思う。この本はだいたいの事は書いてある。そして、証明も詳しく書かれている。足りないのは自分の才能だけだなと、よく感じながら読んだ。

関数解析

関数解析 共立数学講座 (15)

関数解析 共立数学講座 (15)

  • 作者:黒田 成俊
  • 発売日: 1980/11/01
  • メディア: 単行本
 

関数解析はこの本で勉強した。関数解析は理論系に行くなら勉強しておいて全く損はないと思う。経済学で使う動学的最適化の理論などを詳しくやろうとすると使うし、計量経済学の理論でもノルムとかBanach空間とか使う。この本もまただいたい何でも書いてある。ただ字がめちゃくちゃ細かいし、やはり難しい。線形代数をしっかり勉強していると、有限次元の時と無限次元の違いが分かり理解しやすいかもしれない。

本の紹介 計量経済学・統計学編

ミクロ・マクロ経済学に引き続いて、計量経済学統計学の本の紹介をしていきます。計量経済学に関係する本は結構読んだので色々紹介出来ると思います。ただ、どうしても、理論よりの本が多くなってしまう。すみません。

学部1年~3年

統計学入門

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

  • 発売日: 1991/07/09
  • メディア: 単行本
 

 統計学で有名な本の一つ。二項分布や正規分布の説明、不偏推定量の説明や検定の話が書かれており、基本的な統計学の事柄を網羅している。この本が理解できれば基本的な授業にはついていけると思う。

基本統計学

基本統計学 第4版

基本統計学 第4版

  • 作者:宮川 公男
  • 発売日: 2015/03/30
  • メディア: 単行本
 

 こちらも有名な統計学の教科書。書かれている事柄は上の統計学入門と同じくらいだがこちらの方が数学的に優しく書かれており、数学が苦手な人も入りやすい。ただ、積分とか出てくるので高校数学の理解は必要。大学での指定教科書だった。

計量経済学

計量経済学 (新経済学ライブラリ)

計量経済学 (新経済学ライブラリ)

  • 作者:山本 拓
  • 発売日: 1995/04/01
  • メディア: 単行本
 

入門的な計量経済学の教科書。一応、統計学を理解している前提で、書かれているがよく分かっていなくても、たぶん読めると思う。(もちろん、分かっていた方がいい。)これを一通り理解すれば単位も来るし、学部レベルの計量経済学は理解したといえると思う。

計量経済学

計量経済学 (y21)

計量経済学 (y21)

 

 山本の計量経済学よりは難しい、中級クラスの教科書。このレベルの教科書はあまりなかったので、非常良い本だと思う。行列の計算を使用した線形回帰や高度な推定法(GMM推定法・尤度法・ロジスティック回帰・固定効果法など)を紹介している。大学院の教科書に挑む前によく読んでおくと理解がしやすいと思う。

 

大学4年~修士2年

数学的に濃い内容の本が増える。なので、数学の学習が必須になると思う。また、ちゃんと理論を学ぼうとすると測度論という数学の分野を勉強しないといけなくなり、沼にはまっていくことになります。

数理統計学

数理統計学 (数学シリーズ)

数理統計学 (数学シリーズ)

 

 今までなんとなくで済ましてきた、標本分布の導き方や検定の理論、最尤推定量の理論的な分析が書かれている。また、この本では測度論を使用しないので、微積線形代数が理解出来ていれば読み通す事ができる。

数理統計学

講座 数学の考え方〈21〉数理統計学

講座 数学の考え方〈21〉数理統計学

  • 作者:吉田 朋広
  • 発売日: 2006/09/01
  • メディア: 単行本
 

 数学科の先生が書いた感じの測度論を使用する数理統計学の本。非常に難しいが何でも書いてある。特に第四章の大標本理論はM推定量の一致性や最尤推定量の一致性、正規性、尤度比確率場の理論など他の和書では書かれていないことがらが沢山書かれている。これを理解出来れば大概の統計の理論は分かるんじゃないかなと思う。

Econometrics

Econometrics (English Edition)

Econometrics (English Edition)

 

 大学院レベルの計量経済学の教科書。古典的な線形回帰から始まり、系列相関があるような時系列の分析、パネルデータ分析、GMM法の理論的な分析が書かれている。また、漸近論も書かれているのでこの本でまんべんなく勉強することが出来る。

Econometric Analysis of Cross Selection and Panel data

 パネルデータ分析での大学院レベルの教科書。私は直接読んではいないが大学院の先輩曰く、「理論と実証がバランスがとれていてパネル分析に関してはこれを読んでおけばいい。」と言っていた。

 時系列解析

時系列解析〈上〉定常過程編

時系列解析〈上〉定常過程編

 
時系列解析〈下〉非定常/応用定常過程編

時系列解析〈下〉非定常/応用定常過程編

 

経済時系列解析で使用されるモデルとその理論が書かれた本。これもまた分厚い本だが、ARモデル、MAモデル、ARMAモデル、VARモデル、カルマンフィルター、単位根検定、共和分分析、マルコフスイッチングモデルと計量経済学で使用されるモデルがほとんど書かれている。ちょっと古い本なので、GARCHモデルなどは最近の内容を盛り込めていないがそれでも良い本。単位根の章などは 何回も読んだりした。

 時系列解析の理論をやろうとした時に読んだ本。Introductionと書かれているが、簡単な内容ではない。しかし、最尤推定量の一致性の証明で議論される一様大数の法則についての議論が書かれていたり、マルチンゲール中心極限定理について書かれていたり、C過程、D過程などの記述もある。計量経済学の理論をやるならとても良い本。

 LAN、尤度比確率場の局所漸近正規性についてや経験過程について勉強しようとしたときに読んだ本。完全に消化は今だに出来ていない。(悔しい)難しいが、読んでいてとても面白かった。セミパラメトリックの有効性などを議論するときにお世話になる人も多いと思う。

本の紹介 マクロ経済学編

ミクロ経済学編に引き続き、マクロ経済学でオススメ出来る参考書を紹介していきます。経済動学が自分の専門のひとつだったので本の紹介が多く出来そうです。

 

学部1年~3年

マンキュー・マクロ経済学

マンキュー マクロ経済学I入門篇(第4版)
 
マンキュー マクロ経済学II 応用篇(第4版)
 

有名な経済学者が書いた教科書。マクロ経済学ミクロ経済学とどのように違うか、またマクロ経済学で出てくる概念をわかりやすく書いています。数学をなるべく使わずに、マクロ経済学のエッセンスを伝えています。学部レベルの内容はこの本で基本的に大丈夫だといえる。

 

New Liberal Arts Selection マクロ経済学

マンキュー・マクロ経済学と同様に学部で習うマクロ経済学が書かれている教科書。最初のうちはマンキューの内容を細かく説明するするくらいの違いだが、後半はSolowモデルやRamseyモデル、ニューケインジアンモデルなどが書かれており、扱っている幅はマンキューよりも多い。簡単な本を一冊読み終わった後にこれを読むと、細かいところまで内容が理解出来るかもしれない。

 

学部4年~修士2年

マクロ経済学は大学と大学院で雰囲気がガラリと変わる。大学院のマクロモデルは数学をたくさん使う。(たくさん使うことが良いことだとは思わないが。)時間を通じた最適化問題(動学問題)を考えることになるので、ハミルトニアンとかベルマン方程式とか、確率制御(たまに)を解けるようにならないといけない。また、現代ではマクロモデルを計算機を使って解くのでプログラミングもかじることになる。ただ、基本的には計算を追えれば良いのでガッチリの数学書アルゴリズムの計算量の本をやる必要はないと思う。(やっても良いが。)

上級マクロ経済学

上級マクロ経済学

上級マクロ経済学

 

大学院のマクロの教科書の定番と言えばまずこれ。とりあえず一通りの内容が書かれている。これで動学問題の感覚を養うのが良いと思う。ただ、動学問題がだいたい分かる前提で書かれているので、動学問題を少し解けるようになってからの方が良いかもしれない。

 

新しいマクロ経済学

新しいマクロ経済学―クラシカルとケインジアンの邂逅
 

上の上級マクロ経済学よりは扱っているトピックは少ないがその分、一つ一つの内容が深掘りされており勉強になる。数学的には上の上級マクロ経済学と同じか少し簡単くらいのレベルなので、上級マクロ経済学と併せて読むと良いかもしれない。

 

現代マクロ経済学講義

現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門

現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門

  • 作者:加藤 涼
  • 発売日: 2006/12/01
  • メディア: 単行本
 

 この本はマクロモデルのRBCモデルの紹介から始まり、RBCモデルがもつ欠点を克服するようなモデル(DSGE モデル)をその以後の章で紹介している。ニューケインジアン・Calvo型のモデル設定やKiyotaki and Mooreのモデルを紹介しており、RBCからどのようにマクロモデルが発展してきたかが分かる本でもある。

 

Dynamic Economics

Dynamic Economics: Quantitative Methods and Applications (The MIT Press)
 

今までの本はマクロモデルの定常均衡を紙と鉛筆で求め、位相図を使い均衡がどのように変化するか考えるものが多かった。しかし、現代のマクロはモデルを組んだら計算機を使って解くものがほとんどである。(解析的に求めるのは難しい。)この本は動学問題を解くアルゴリズムValue function IterationやPolicy function Iterationの擬似コードが載っている。扱っている内容も上級マクロ経済学と同じくらいかちょっと少ないくらいなので、非常によい本だと思う。

 

マクロ経済学講義

扱っている内容は少し古いが、代表者モデル・世代重複モデルの細かな内容やターンパイク定理などが書かれており、マクロモデルの数学的な内容が勉強出来る。古い本なので、計算機のコードとかは書かれていない。ここまで来るとマクロを専門にする人しか読まないかもしれない。

 

Recursive Macroeconomics

Recursive Macroeconomic Theory (The MIT Press)

Recursive Macroeconomic Theory (The MIT Press)

 

新古典派の代表的なサージェントが書いてもいる現代的なマクロ経済学の教科書。非常に分厚いがこの本を読みこなせると、研究に入れるかもしれない。コードなどは書かれていないが、計算機でモデルを解くという意識でモデルが立てられている。代表者モデルを超えた、非完備市場モデルが書かれており現代のマクロモデルを堪能出来る。

 

Interst and Prices

 ニューケインジアン的な立場で書かれたマクロ経済学の本。金融政策の有効性についての議論が沢山書かれている。非常に難しいと思われる。英語が苦手な私は苦戦し、読破出来なかった。

本の紹介 ミクロ経済学編

大学受験の数学を勝手に解いている私ですが、学部・大学院は経済学専攻(理論経済学計量経済学(理論))でした。なので今回はミクロ経済学の本を紹介します。

 

学部1年~2年

学部低学年のミクロ経済学は経済学的な説明に重点を置き、数学の使用は控えめになっている。

伊藤元重

ミクロ経済学

ミクロ経済学

ミクロ経済学

  • 作者:伊藤 元重
  • 発売日: 2018/02/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

大学の指定参考書だった。ずいぶん前に読み返してみたが、基本的な事が省略される事なく書かれていた。とりあえず、経済学の導入としては良いと思う。

 

神取道宏

ミクロ経済学の力

ミクロ経済学の力

ミクロ経済学の力

 

私が大学4年くらいの時に出版されて、とても良い本だと評判だった。この本も経済学のエッセンスを大切にしながら大学で学ぶ範囲を丁寧に説明している。

 

学部3年~修士1年

学部高学年から大学院レベルのミクロ経済学は抽象的な議論が増え、数学の使用がとても増える。計算を追えて簡単な証明が分かれば基本的に困ることはないと思うが、数学的な議論をしっかり理解しようと思うと大学数学に足を突っ込むことになる。具体的に言うと、「δ-ε論法」とか「集合と位相」とか、やろうと思えば微分トポロジーまで使用する。まあ、その分野はもはや数理経済学であるが。本の紹介にもどる。

H.Varian

ミクロ経済分析

ミクロ経済分析 (経済と経済学の明日 4)

ミクロ経済分析 (経済と経済学の明日 4)

 

効用最大化問題・利潤最大化問題と費用最小化問題の双対性を意識しながら理論展開をしていく本。学部初級の時の本とは雰囲気が全然違い、一般的な条件の下で問題を解いていくスタイルになる。この雰囲気になれないと理論系の本は厳しいかもしれない。

 

西村和雄

ミクロ経済学

ミクロ経済学

ミクロ経済学

  • 作者:西村 和雄
  • 発売日: 1990/09/01
  • メディア: 単行本
 

私は、学部ではこの本をメインにして勉強した。数学的な議論をしていて、連続的な効用関数が引けるための仮定や効用最大化問題の前提、利潤最大化問題の前提になっている仮定などをしっかり説明している。また、需要関数・支出関数の導出のしかたもしっかり書かれている。大学院の辞書みたいな本に立ち向かうにはちょうど良い本だと思う。

 

奥野正寛・鈴木興太郎

ミクロ経済学

この本も西村和雄「ミクロ経済学」と同じように数学を使用して、一般的な条件の下で、効用最大化問題・利潤最大化問題やパレート効率性などを議論している。大学院の先輩は和書ではこの本を参考にしてミクロ経済学は勉強したらしい。

正直、西村の「ミクロ経済学」、H.Varian「ミクロ経済学」、そして奥野・鈴木「ミクロ経済学」は扱っている内容や数学的厳密性は同じくらいなので自分に合った本で勉強するのが良いと思う。

 

Microeconomic Theory

Mas-colell, etc 

Microeconomic Theory

Microeconomic Theory

 

経済学で大学院に進学すれば必ず研究室に置いてあると考えられる辞書本。基本的に英語が読めるかつ根気がある人はこの本で勉強するのが一番早い。とにかく何でもしっかり載っている。ただし、1000ページにも及ぶので基本的には最初の方のtopicを読み、後は研究や気になった章を読んでいくのが良いと思われる。私は気になったところだけを読んだと思う。

2019年 立教大学理学部 第四問の問題

何で突然、立教大学?と思われる人もいると思うが、知り合いが立教大学だったのでなんとなく過去問を解いてみた。

この問題は数学科のみの出題になっている。問題は基本的な良問だといえる。必要十分条件を求める如何にも数学科らしい問題である。とても丁寧な誘導がついており、数学科を目指すひと以外も解いておいて損はないと思う。

(1)求める範囲Xが直角二等辺三角形に条件を求める。直角二等辺三角形になるためにはx軸と直線lの角度が45°になる必要がある。すると、この直線lは傾きが1であることが分かる。また、直線lに対して点Pと点Aは対称なので、直線lと点Pと点Aを結んだ直線PAは垂直に交わる。これから次の式が成立する。

 { \displaystyle l:y=x+n }

直線PAの傾きは次になる。

 { \displaystyle \begin{equation} a = \frac{b}{a-1} \end{equation} }

これを直線の式の公式に当てはめると次がでる。

 { \displaystyle \begin{equation} y= \frac{b}{a-1}(x-1) \end{equation} }

この二つの直線が垂直に交わるので互いの傾きの積は-1になる。

 { \displaystyle \frac{b}{a-1} = -1 } これを整理して、条件を加えたものが求める条件になる。

 { \displaystyle a + b = 1 } 0<a<1,0<b<1 これが求める条件である。

(2)直線lの式を {\displaystyle y=mx+n }とすると、直線lと直線PAの直交条件は次になる。

 {\displaystyle \begin{equation} \frac{bm}{a-1} = -1 \end{equation} }

これを整理するとmに解くと次になる。

 { \displaystyle \begin{equation} m = \frac{1-a}{b} \end{equation} }

また、点Pと点Aの中点は必ず直線L上にあるので次が成り立つ。

 { \displaystyle \begin{equation} \frac{b}{2} = \frac{1-a}{b} \frac {a+1}{2} + n \end{equation} }

これをnについて解くと次になる。

 { \displaystyle \begin{equation} n = \frac{a^2+b^2-1}{2b} \end{equation} }

(3)直線lが正方形の辺OAとの交点持つためには、直線lとx軸の交点が {\displaystyle 0\leqq x\leqq 1}あればよい。直線lの式はaとbで表すと次のような形なので、この式にy=0をして条件を計算する。

 {\displaystyle \begin{equation} y = \frac{1-a}{b}x + \frac{a^2+b^2-1}{2b} \end{equation} } これにy=0を代入してxについて解くと次になる。

 {\displaystyle \begin{equation} x = \frac{a^2+b^2-1}{2(a-1)} \end{equation} }

これが {\displaystyle 0 \leqq x \leqq 1}にあるので次を計算すると求める範囲がでる。

 {\displaystyle 0 \leqq a^2+b^2-1 \leqq 2(a-1) }

 {\displaystyle 0 \leqq (a-1)^2 + b^2 \leqq 1 }、 0<a<1、0<b<1

(4)今度は辺ABと直線lが交わる条件を求める。(3)と同様に考えるとx=1の時のyの値が {\displaystyle 0 \leqq y \leqq 1}になれば良い。x=1の時の値を計算すると以下になる。

 {\displaystyle \begin{equation} y = \frac{(a-1)^2 + b^2}{2b} \end{equation}}

この値が0以上1以下になる範囲を求めると次のような範囲になる。

 {\displaystyle 0 \leqq (a-1)^2 + (b-1)^2 \leqq 1}、 0<a<1、0<b<1

(5)範囲Xが三角形になるための条件を求める。三角形になるためには直線lが辺OAと辺ABと交わればよい。これは(3),(4)の条件を合わせたものである。よって以下の範囲になる。

0<a<1,0<b<1, {\displaystyle 0 \leqq (a-1)^2 + b^2 \leqq 1 } {\displaystyle 0 \leqq (a-1)^2 + (b-1)^2 \leqq 1}

(6)求める範囲は(5)の範囲で不等号をすべて\leqqに置き換えたものである。図示をすると、ちょうど半径1、中心角\pi/4の扇形から、高さ・底辺1の直角二等辺三角形を抜き取ったものの面積の2倍ということが分かる。よって、計算をすると、

 {\displaystyle S = 2(\pi/4 - 1/2) = \pi/2-1 }